第12話 / 模型

結局、深谷さんを残して4人が展望台までのぼることにした。料金500円を払うと、係の人がパンフレットをくれた。ただしなぜか二人に一部だ。通天閣の説明でもしてあるかと中を開いてみると、切り取って組み立てると通天閣の模型ができるというとぼけた代物だった。

こんなものを喜ぶ者などいやしないと山本君と笑いあっていたら、後ろの親子とおぼしき二人づれの会話が聞こえてきた。お父さんが小さな子供にそのパンフレットを見せてさかんに、こう作れば通天閣ができるんだよ、などと説明している様子。でも子供の方は乗り気でないのか生返事を返すだけ。それはそうだろう。子供だましというのが子供に失礼なくらいちゃちなつくりなのだから。

自分にとっておもしろくないものでも子供だったら喜ぶなどと考え出すのはいつからだろうか。後ろの親子のやりとりを聞きながら、この思い上がりは自分自身にも思いあたるところがないではないと自戒する私であった。そうするうちに展望台にのぼるエレベータがやってきて、私たちはその中へと乗り込んだ。