第15話 / ガイドブック

通天閣を出た私たちは次にどこに行くかを話し合った。斎藤さんが美術館、動物園、四天王寺などの候補をあげるが、中途半端な時間だけにどれもしっくりとこない。「四天王寺って何があるの」とは小木曽さん。「四天王があるんだよ」と斎藤さん。こんな間の抜けた会話をしながら時間が過ぎていく。

そのうち何を思ったのか小木曽さん、ストリップを見に行こうと言い始めた。「それは構わないけど、ここらにストリップやっているところなんてないんじゃない」と斎藤さん。「そんなはずないよ。だってガイドブックに書いてあったもん」。小木曽さん、反論にも気合が入っている。「でもここまで歩いてくるあいだにそんなものなかったでしょ」。斎藤さんが再び切り返しても、「いや、ガイドブックに書いてあるんだから、きっとどこかにあるはずだよ」と頑張る。そこまでいうのなら少しこの辺りを歩いてみようということになって、5人が動きだした。

だが目につくのは映画館ばかりでなかなか目的のものが見当たらない。「やっぱりないんだよ」。そう斎藤さんがつぶやいたとき、小木曽さんが声をあげた。「あった、あった。ほら、あそこ」。見ると、なるほどそれらしい建物がある。「ほらね、ガイドブックにちゃんと書いてあったんだから」。勝ち誇ったように小木曽さんは言い、弾む足取りでそちらに歩きはじめた。