第17話 / ジャンジャン横丁

肩を落とす小木曽さんを励ましながら進む5人の前に動物園の方向を示す看板があった。向こうに行けば動物園があるのか、とは思ったものの、いまさらそちらに行く気にもなれない。そんな私たちの目に止まったのが、動物園とは逆の方向にある薄暗い、まるで洞窟のような通りであった。私たちは魅入られたようにその通りに入っていった。

まだ日も高いというのに通りの中は真っ暗で、両側の建物から漏れる明かりで道がわかるという具合だった。通りには小汚い飲み屋・雀荘・碁会所などがところせましと並ぶ。驚いたのはこの時間にどの場所にもかなりの人が入っていることだ。しかし中の人たちの様子に決して不自然さはない。おそらく中の人たちにとっての日常がそこにあるのだろう。一日中光の届かないこの通りでは、何曜日の何時であろうとこれと同じ風景を見ることができる。そんな気がする。

私たちが日常の中でいつも意識しなければならない時間という存在はここにはない。ここは私たちが持つ座標軸のひとつを欠いた、まさに異次元の空間なのである。だから居心地はよくない、でもどこかそれを楽しんでいるという不思議な感覚を味わいながら歩いていく。

いったいどれほど歩いただろうか。やがて前方に光が見えてきて、私たちは再び時間とともに生きていく世界へと引き戻された。もう少しあの感覚を楽しみたかったという気もしたが、しかし現実は現実でまた楽しい。そう思わせる風景が私たちの目の前にあった。