第19話 / 諦観

私たちは動物園前から再び御堂筋線に乗って、今度は梅田へと向かった。朝からさまざまな出来事と遭遇してきたためか、さすがにみんなの表情にも疲れが見える。地下鉄の車内では比較的口数少ないまま梅田に到着した。

梅田に着くともう待ち切れないという様子で深谷さんが競馬専門紙を購入する。それを見て小木曽さん、「そうだなあ。ここで買っておいた方がいいかもしれんねえ。宝塚みたいな田舎には売ってないかもしれんし」などと、宝塚の人が聞くと気を悪くしそうなことを言う。昨年の6月に宝塚に来ている山本君が「大丈夫ですよ。去年来たときちゃんと売ってましたから」と言っているのに、「そうか。でもあそこは本当に何もないところだから」と自分の古い記憶を譲ろうとしない。しかし結局は梅田では専門紙を買わず、そのまま宝塚行きの阪急電車に乗り込んだ。

梅田から宝塚までの所要時間は急行で35分。料金は250円。宝塚までの切符を買うとき深谷さんはため息まじりに「安いよなあ」とつぶやく。名鉄の急行で35分というと武豊から金山くらいになる。その間の料金が630円。南成岩からでも金山まで570円だから、確かに250円は驚くほど安い。毎週のように金山に行っている者としては、こういう環境にある人たちがうらやましくて仕方がない。しかしこればかりはどちらが良いとか悪いとか言っても始まらないので、こんなときは「現実はあるがままに受け入れよう、うん」と自分に言い聞かせることにしている。

電車は思ったよりもすいていたので、5人はロングシート一列を占領して横に並んで座った。ほどなく電車が動き出し、私たちはいよいよこのツアーの本当の目的地へと向かうのだった。