第20話 / 休息

宝塚に向かう電車の中で、私たちは深谷さんの買ってきた専門紙をもとにした翌日の予想、宝塚歌劇に対するイメージ、宿泊予定の碧山荘の小木曽さんご推薦の鍋料理への期待など、とりとめもなく語り合っていた。しかし次第にみんなの口数が少なくなっていき、やがて話に参加する者が一人二人と減っていった。

深谷さんと専門紙をはさんで競馬の話をしていた私はそのことをさほど気にもとめなかったが、ふと回りを見まわすとみんな眠っている。これに気づいた深谷さんと、みんな疲れたんだね、と笑い合ったが、そのうち私にも心地好い眠気がやってきて、からだの求めるまま眠りに入った。

私が目覚めたとき、電車は宝塚の2つ前の駅を出たところだった。まわりではまだみんな眠ったままだ。どうせ宝塚は終点だから乗り過ごすことはないと安心しているのだろうか。まあ良いかと思って前を見ると、斜め向かいのシートに女子校生が2人座っていて、こちらを見て笑っていた。なるほどいかにも遠方からやってきたという風情の男ばかりの5人組が一列に並んで舟を漕いでいる姿は滑稽であろう。なぜか急に気恥ずかしくなってまた顔を赤くする私であった。