プロローグ / After Dark

私の行先表示板に馬券とともに訳のわからない文言を記した紙が挟まっていることをご存じの方もいるだろう。あれは私の身の回りの出来事や気持ちを表す言葉を書き記しているもので、好きな歌の詞の一節を使うことが多い。ところで先週から私の机にMacintoshPower Bookがしばらく置かれることになった。そこでさっそくAfter Darkで行先表示板と同様の言葉を表示するようにしておいた。使ったのは山本正之さんの歌の一節「馬券柴犬ワンと吠えろ!」。特に深い意味があるわけではない。ただ週末に競馬に行くから、それにひっかかりそうな歌詞を単純に選んだだけである。

出発の前日になって、週末の天気が悪くなるという話が聞こえてきた。傘を持って行かないと困るかもしれないと思い、忘れないようにAfterDarkのメッセージを山本正之さんの別の歌の一節「あしたは雨が降るから傘を用意しましょう」に変えた。ところがこの一節に続くフレーズが実は「あさっては雪が降るから...」。思えばこれが今回のツアーの行く末を暗示していたのかもしれない。しかしこの段階では雨が降ると嫌だな、という程度にしか考えていなかった。むしろそれとは別の不安が私の体の中で現実のものとなりつつあり、そのときの私にはそちらの方がずっと大きな問題であった。