第25話 / 欠席裁判

「食事は5時半でいいですかね」。おばさんが話を元に戻す。「もう一人がいつ来るかはっきりしないんだけど、とりあえずそれでいいです」。斎藤さんがそう答えると、おばさんはうなずいて出ていった。するとそれと入れ替わるように小木曽さんがお風呂から帰ってきた。

「食事は5時半て言っといたけど、いいよね」と斎藤さん。「ああ、いいよ」。小木曽さんが答える。「和泉がどうなるかわからないけど」。「和泉君かあ。彼は団体行動ができんのだ。いつでもすぐ統制を乱すんだから」。

そして5時半になっても、予想通りというか、和泉さんは来なかった。すでに肉や野菜がテーブルに並べられていたが、もう少し待つことにした。部屋には暖房が入っているのでかなり暖かい。まだ食べないのなら肉を縁側に出しておいた方が良いとおばさんに言われ、私たちはそれにしたがった。

料理を目の前にしながらそれに手が出せない不満がつのる。「連絡があったらいいのですけど」。このおばさんの一言でみんなの不満が一気に表に現れた。「ほんとだよ。電話くらい入れりゃあいいのに」。「もう、彼は自分勝手なんだから」。「いつものことといえば、いつものことですけどね」。「まあまあ、和泉さんにも事情があるのでしょう。もう少しやり方があるとは思いますけど」。「今頃のこのこやってきても、食わしてやらん」。当人不在の中、私たちは口々に和泉さんを非難する。そしてやはり小木曽さんがこうしめくくった。「やっぱ、彼は団体行動がだめなんだわ」。

しかしいくら不満を言い合ったところで和泉さんが現れる気配はなく、空腹を抱えながらむなしく時間が過ぎていった。