第29話 / 再び長い夜

夕食、そしてその後にアルコールが入ってから、私は昨日に続いてからだのかゆみを感じていた。ただ起きているあいだは気にはなるが苦痛というほどではない。問題は寝るときだ。それまで苦痛と思わなかったかゆみも、眠ろうとする場合にはたいへん邪魔になる。すんなり眠りに入れなければ次第に苦痛を覚えることになる。

そんなわけで私は早く眠ろうと、なるべくかゆみを意識せずからだをかかないようにして目を閉じた。ところが隣から気になる音が聞こえてきた。和泉さんのいびきである。気にしないように気にしないようにと思うほど眠りから遠ざかる。意識がどんどんはっきりしてくるようだ。

眠れない時間が長くなるにつれじんましんの症状が苦痛に変わっていく。もはやがまんできなくなったとき、私は上体を起こして全身を激しくかきはじめた。からだをどんなにかいたところでかゆみがおさまるものではないが、そうせずにはおれない。どうせ横になっても眠れるものではないのだから。

こうして私はずいぶん遅くまで眠ることができなかった。が、このとき外がどうなっているかに気づくこともなかった。