第1話 / 長い夜

出発の前日、私はちょっとした酒席に顔を出すことになっていた。もともとお酒は好きな方だが、少し前に酔って記憶をなくしたこと、前の週に生牡蛎にあたって体調を悪くしたことがあって、この日はかなり抑え気味に飲んだつもりだった。ところが酔いの回りが妙に速い。ここで無理は禁物と考えて、9時には皆と別れて寮に戻った。

寮に帰った私は、阪神に向かう準備をして床に入った。やがて眠りについたものの、再び目がさめるまで時間はかからなかった。からだじゅうがかゆくて仕方がなかったからだ。見ると全身にじんましんが出ている。こういうときはからだをかいては良くないと聞いているが、とてもがまんできるものではない。ひとしきりからだをかいては横になり、がまんできなくなるとまた起き上がることを繰り返していた。ようやく浅い眠りに入ったのは朝が近づいてからのことだった。そして私はその眠りから予期せぬ形で目覚めることになる。