第35話 / 写真

阪神競馬場は数年前に大規模な改装があり、関西では最もきれいな競馬場だと言ってよいだろう。中京競馬場と同じように入場門は2階にあるが、今回は払い戻しが目的なので1階の方に向かった。ところが肝心の払い戻し場には人気がまったくない。どうしたことかと近くにいた警備員とおぼしき人に尋ねてみると、払い戻しは行うが10時からとのこと。時計を見るとまだ1時間近くある。近くに時間をつぶせるようなところも見あたらず、結局、払い戻しは大阪のWINSで行うことにした。

とはいえ、このまま帰るのもつまらないので、ここで記念写真を撮ることにした。阪神競馬場を背にひとりずつがカメラの前に立つ。ただそれだけのことなのだが、実際にやってみるとかなり気恥ずかしい。とくに周りに知らない人の存在を認めると妙に照れくさいのだ。もっともこれは人によって感じ方が違うかもしれない。私は写真が嫌いというわけではないが、ものごとを写真に残そうという意志が極めて希薄で、写真を撮ることにも写真に撮られることにも積極的ではない。その辺り、カメラを持ってきた小木曽さんや山本君にはきっとまた違った感じ方があるのだろう。

一通り写真を撮り終えると、みんな寒いのが身にしみてきたのか、早く次の場所へ移動しようということになった。次の場所といっても具体的に決まってはいないのだが、とりあえず大阪に向かうということで駅の方に歩き出した。さっきの場所にはまだ例のお兄さんがいて、今度は雪だるまを作っている。雪の日にやることは何処も同じらしい。