第36話 / 阪急電車

阪急仁川駅から今度は西宮に向かう。仁川についた電車はさすがに満員でかなり窮屈な思いを強いられる。考えてみれば知多に来て以来、満員の電車に乗るなどということは数えるほどしかなく、これも久しぶりに味わう新鮮な体験と言えば言える。とはいえやはり窮屈なものは窮屈だ。仁川から西宮北口までのわずか3区間がやたらと長く感じられた。ようやく西宮北口について電車を降りると、冬の冷たい空気がとてもさわやかだ。慣れない混雑で乱れた呼吸を整えてから、私たちは梅田行きの電車に乗り換えるため神戸線のプラットフォームに向かった。

それにしても宝塚駅といい、この西宮北口駅といい、阪急の駅はどこもきれいだ。たまたま私たちが立ち寄ったところがそうだっただけかもしれないが、名鉄を代表する新名古屋駅と比べてもずいぶん雰囲気が違う。料金とともに、名古屋では越えることのできない壁のようなものを感じる。やはりこれもあるがままに受け入れなければならないのだろうか。

阪急神戸線は雪のためダイヤが大幅に乱れていた。今津線は各停しか走っていないから、ダイヤの乱れといっても全体が順繰りに遅れていくだけだが、特急や急行の走っている神戸線では、次に到着する電車、次に発車する電車が何なのかを駅の方でも把握できないありさまだ。私たちはとりあえず停車中の普通電車に乗って状況を見守っていた。するとしばらくして特急の到着と、その特急が先に発車する旨を告げるアナウンスがあり、ほどなく電車がプラットフォームに入ってきた。