第38話 / アプローズタワー

私たちはふたたび外に出てアプローズタワーを捜した。しかしさきほどまでいた阪急ホテルのまわりにはそれらしいものが見あたらず、もう少し歩いてみようかと話し合っていた。そのとき私たちが出てきた入口から少し離れた別の入口に目をやると、そこに「Apprause Tower」と書かれているではないか。なんのことはない、阪急ホテルとアプローズタワーは中が仕切られているだけで、外見上はまったく同一の建物だったのである。

私たちは「Apprause Tower」とかかれた入口から建物の中に入ったが、居心地の悪さはやはり阪急ホテルと変わらない。エレベータのところにある案内板で10階に「JRA」の文字を見つけると、さっさとエレベータに乗り込んで10階へとのぼっていった。エレベータを降りてすぐ右手に目的のJRA広報センターがあった。

名前こそ大仰だが、スペースはさほど広くない。競馬関係の書物や雑誌、共同馬主クラブのパンフレットなどがおいてあり、それを自由に見ることができる。中の雰囲気も図書館の閲覧室に近い。その一角にぬいぐるみやポスターなどの競馬グッズを並べた陳列ケースがあり、それらを販売していることがわかる。また別の一角には文字放送受信用のモニタがあった。いつもならレースの情報が流されているのだろう。

しかし私の目に真っ先に止まったのは別のモニタだった。それは過去の主要なレースの実況を、内蔵するレーザーディスクから自由に呼び出せるというものだ。広報センター内にはこのモニタが2台あったが、私たちが広報センターに来たときには2台ともふさがっていた。私は書物を手にとったり、陳列ケースをのぞいたりしながらも、ずっとモニタの状況をチェックしていた。そしてその1台の前から人が離れるやいなや、私は脱兎のごとくモニタの前へと駆けつけた。