第42話 / 拙速ふたたび

案内図の示す方向にずんずん進む小木曽さんの足がふたたび止まる。前にはガラスの扉。その先には上へとのぼる階段が見える。周りを見てもやはりいか焼きを売っているらしい店は見あたらない。「おかしいなあ。案内の通り来たはずだけど」。もう一度首をひねる小木曽さん。「人に聞いた方が早そうだね」と斎藤さん。「じゃあ、そうしましょう」。和泉さんはこう言うが早いか、もう近くのお店のおばさんにいか焼きの店の場所を尋ねていた。

おばさんの話を聞いて、小木曽さんの歩く方向が間違っていたわけでも、案内図に嘘があったわけでもないことがわかった。実は扉の向こうに見える階段の手前に細い通路があり、そこを入ったところにいか焼きの店があるのだ。おそらく案内図にはそのことがきちんと書かれていたのだろうが、私たちは大体の位置を確認しただけで動き出したので、あと一歩のところで足踏みをしてしまったわけだ。通天閣での一件を思い出させる出来事だ。

狭い通路にはいか焼きを買う人の列ができていた。6人がここに並んでも仕方がないので、斎藤さんと山本君が列に並び、ほかの4人は少し離れたところで待つことにした。ところがふと見ると和泉さんがいない。そして小木曽さんが言う。「ほんっと彼は団体行動がだめだな」。