第43話 / いか焼き

店の前の行列は短くなかったが、進み具合が速いのだろう。思ったほど待つこともなく、斎藤さんと山本君がいか焼きを手にして戻ってきた。だが依然として和泉さんの姿は見えない。「まったく彼はいつもこうなんだから」。例の調子で小木曽さんが言う。「いないんなら、和泉の分食っちゃおうぜ」。斎藤さんがこう言ったとき、和泉さんが姿を現した。「あ、みなさん待ってました?どうもすみません」。そう言いながらも、和泉さんはさっさといか焼きを手にして食べはじめた。これを見てほかの人もやれやれという感じでいか焼きを食べる。

いか焼きは要するにたこ焼きのたこがいかに変わったのもだが、ただ両者の形状はかなり違う。いか焼きはたこ焼きように球状ではなく、お好み焼きのように平たく焼いてあるのだ。いか焼きを食べてみるとこれがおいしい。金龍ラーメンでは前評判があてにならないことを感じたが、こちらの方はなるほど行列ができるだけのことはある。いか焼きを食べ終わった和泉さん、「みなさん、もうひとつ食べませんか。僕が並んできますから」。よほどこのいか焼きが気に入ったらしい。しかしみんなのおなかも少し落ち着いたし、深谷さんも馬券の払い戻しが気になるということで、WINSのある難波に向かうことになった。