第44話 / お好み焼き

難波に着いたらお好み焼きでも食べようと話しながら私たちは地下鉄に乗った。お好み焼きといえば、私は広島の出身であるがゆえに多少のこだわりを持っている。ご存じの通り、広島のお好み焼きと関西のそれとではずいぶん違う。別にどちらがおいしいというつもりはないが、広島のお好み焼きがまがいもの扱いされるのは不愉快だ。ましてモダン焼きと同一視するなど論外である。もっともこの大阪で広島風のお好み焼きを求めることは、いわばパリで中華料理を求めるに等しい。それは限りなく不可能に近いし、また無粋というものだ。料理の仕方はどうあれ、おいしいものはおいしいのだから。

そんなことを考えていたら、あっという間に難波に着いてしまった。駅を出ると昨日見たばかりの風景が広がっている。が、なぜかこれがなつかしい。昨日からの出来事は、日常の生活でのそれとは密度が違い過ぎているのだろうか。ともあれ私たちはお好み焼きの店を探して、昨日歩いた難波界隈をふたたび歩き始めた。