第60話 / 難波駅

しばらく待っているとやがて和泉さんが戻ってきた。「和泉、いったい何しに行ってたんだよ」。斎藤さんが尋ねる。「まあ、いいじゃないですか」。笑って答える和泉さん。「え、人に言えんようなものを買っていたの」とは小木曽さん。「何ですか、人に言えないようなものって。いや、ここでしか売っていないビールでもないかなと思って」。「へぇ、そんなのがあるの」。「いえ、ありませんでした」。

さて、そのあと難波駅に到着した私たちが最初にしたことは、切符が使えるかどうかの確認だった。というのは、私たちが持っている切符は鶴橋から名古屋までの切符だったからだ。行きの段階で名古屋からは鶴橋も難波も同じ値段だということはわかっていたが、はたして難波からすんなり乗せてもらえるかどうかを確かめておかなければならない。もし乗れないとすれば、別に鶴橋までの切符を買わなければならない。

駅員に尋ねたところ、幸い難波から乗っても問題ないとのこと。やれやれという感じで、私たちは車内で飲み食いするものを買いに向かった。駅の中をしばらく歩いた後、蓬莱で餃子に焼売、それに唐揚げなどを買う。ここで代金を払うと、計ったように最初に集めていたお金を使いきってしまった。行き当たり場当たりで行動していたにしては、見事というほかはない。なぜだかわからないが、うれしくなった。