第61話 / おみやげ

やはり会社の人に何か買って帰らないと具合が悪いだろうということで、私たちは近くの土産物屋をのぞく。しかしこういうところに並ぶ菓子はどこに行ってもかわりばえがしない。まったく同じ物が別の場所で名前を変えて売られていることも少なくない。たとえば広島の新平家物語は福岡では博多の女になり、さらに長崎では長崎物語と名乗っているらしい。ついでにいうと、以前私が幕張への出張の帰りに買ってきた伊豆の何とかという菓子も、それらによく似たものだった。

私たちがのぞいた店もおこしのたぐいのほかは、なぜ大阪名物を名乗るのかよくわからない代物ばかりだったが、そんなたいそうなものを買うこともあるまいということで、数と値段を見比べて、各グループに配るのに具合のよさそうなものを適当に選んだ。ここでメンバーの構成が、SG・OA3人、操業計画2人、管理1人と偏っているため、代金の支払いをどうするかが問題となる。同じグループの参加者がいない私の立場が不利なのは否めず、ここは余計なことを言わないで息をひそめてなりゆきを見つめることにした。幸い今回のメンバーはみんな大人なので、必要な分をまとめて買って、単純に参加者の頭数で割って負担することが決まり、私もやれやれと胸をなでおろすのであった。

会社への土産も一応買ったことだし、そろそろプラットフォームに向かおうかという話が出たところで和泉さんが言う。「あ、まだ発車まで時間ありますよね。ちょっと行きたいところがあるんですけどいいですか」。「行きたいって、どこへ」。「いや、ちょっと。時間までにはちゃんと帰ってきますから、みなさん、先に行っててください」。「そりゃかまわないけど、遅れても置いてくからな」。「大丈夫です。それじゃあ」と言うが早いか、和泉さんは雑踏の中に姿を消していった。その後ろ姿を見ながら小木曽さんがつぶやく。「まあ、ほんっと彼は団体行動がだめだな」。