第64話 / 解散

電車に揺られてうとうとしていると、あっという間に名古屋についてしまった感じがする。しかし実際には雪のせいで名古屋到着が少し遅れたらしい。そのことを告げるアナウンスを意外と受け止めながら、私たちは電車を降りた。

この2日間の疲れはやはり相当に大きかったのだろう。家路を急ぐ小木曽さんと別れ、5人はまっすぐ名鉄の乗り場に向かった。次の特急の発車までおよそ20分。深谷さんはちょうど頃合いだなという感じで切符売り場の方に歩き出した。斎藤さんと和泉さんがそれにつづいたが、山本君は「自分はこのあとの急行で帰ります」と言い残して、プラットフォームの方に走り出した。そのすばやさは私たちが彼に声をかけることもできなかったほどである。

実は次の特急は内海行きだったため、山本君にとってはその前の河和行きの急行の方が具合が良かった、ということがわかったのは、彼の行動への驚きが少しばかりおさまってからである。かといってとくに気にする風でもなく、私たちはなにごともなかったように座席指定券を購入した。

プラットフォームに降りると、深谷さんが「ちょっとここで待ってて」と言って姿を消した。残された3人は近くのベンチに腰かけて、2日間のできごとをぽつりぽつりと振り返る。そのゆっくりとした会話のペースは、たまった疲れを癒そうとしているかのようであった。