第2話 / モーニングコール

トゥルルルル。一時の眠りを覚ましたのは電話の音だった。3つ目のベルが鳴り終わったところで、私は布団から手を伸ばして受話器を取った。「はい、東です」。「もしもし...」。電話の声は和泉さんだった。このとき、ひょっとすると和泉さんはツアーに参加できなくなったと言うのではないか、という嫌な予感が頭をよぎった。その予感は半ば当たり、半ばはずれた。和泉さんは予定の電車に乗ることができないので、一人で遅れて行くことを私に告げて電話を切った。

このあと顔を洗って服を着替えると、時計はすでに8時25分を回っていた。深谷さんのところの車が知多寮に8時30分に来てくれることになっていたので、あわててバッグを担いで階段を駆け降りて玄関に向かった。するとすでに車が待っていた。急いで乗り込むと、今度は衣浦寮で斉藤さんを乗せ、名鉄の武豊駅へと向かった。こうしてメンバーの予定や自分のからだに不安を抱えながらもツアーは動き出したのである。